芦屋市

前置きになりますが、神戸市から西宮市の六甲山より南の地域では、どんな方向音痴の人でも、ある程度の方向感覚を保つことができます。

ちなみにここでいう六甲山は前回紹介した「六甲山系」を指すと思ってください。

北は六甲山の山があり、南は大阪湾の海に挟まれた東西に長いこの区域では平坦部は海岸に近い一部しかありません。坂の多いこの区域では斜面に対して下る方が南で登る方向が北になります。

道案内をする時も自然に「○○のあるところから上に行くと・・・」とか「××から上がったところに・・・」という言葉が使われます。これは京都と似ているかもしれませんが、京都のような「北へ向かうことを上がる、南へ向かうことを下がると言う」といった法則があるわけではなく、地形が原因で自然と言葉に出てくる表現なのです。こういう表現方法を聞いて「上ってどっちなのよ!?」と言う人もいますが、単純に土地の標高が高い方が上だと思ってください。つまり北ですね。

私は大阪に出て初めて自分が方向音痴だと知りました。六甲山の見える昼間は当然、夜も傾斜の感覚で、ある程度の方向がわかるところで育ちましたので、山も海も見えない大阪平野に住んでみて初めて、東西南北の感覚がなくなってしまったのです。逆に言うと、太陽の位置とか気にしなくても方向がわかるところに長く住んでいたので、太陽の位置を見て方向を判断するというような感覚を身に付けていなかったのです。このため一度迷うともう修正きかないくらいにデタラメな方向にどんどん進んでしまうという失敗を何度もした経験があります。

ここからようやく本題の芦屋についてですが、芦屋といえば高級住宅地のイメージがあると思います。

芦屋市は人口約9万3000人、兵庫県では2番目に小さな自治体ではありますが、それでもひとつの市ですので、すべての住宅が豪邸ということはありえません。

ある人が「自分は芦屋に住んでいる」と言ったからといって、その相手がどこかの社長であるとか、お嬢様だとは限らないわけです。しかし阪神地域では、ある程度の基準があり、山手の方、つまり前置きで紹介した「上の方」が高級住宅地なのです。もちろん本当の豪邸が建ち並んでいるところはわずかで、有名なところとしては「六麓荘町」など一部ですが、それでも「山の手」の方が一般に高級住宅地といわれます。

※阪神地区、阪神地域とは兵庫県南東部の芦屋市、西宮市、尼崎市、宝塚市、伊丹市、川西市のこと。

では誰かが「芦屋に住んでいる」と言ったとしましょう。「芦屋にもいろいろあるけど、どの辺り?」と露骨に聞くこともできないでしょうから、そういう時は「へー、芦屋なんだ。最寄の駅はどこ?」と聞いてみましょう。

大阪~神戸間にはJRと阪急、阪神の3つの路線が平行して東西に伸びています。

このマップのように一番山の手を走っている阪急芦屋川駅が最寄駅だといえば、「すごーい!高級住宅地なんだー!(阪急沿線だからといって必ずしも豪邸に住んでいるとは限りませんが)」と多少相手を持ち上げておきましょう。

JR芦屋駅だと相手が言えば、「芦屋なんだー。素敵なところですねー」と多少は反応してあげましょう。

阪神芦屋駅だと言えば、「あっ、そう」と無視してもいいです(笑)。

芦屋の豪邸街といえば上で名前を出した六麓荘町が有名です。すぐお隣りの苦楽園(西宮市)と共に昔から高級住宅地として知られていました。阪神高速から見ると六甲山の中腹くらいに見える場所で、大変傾斜のきついところです。高級外車が路上に無造作に駐車されており、道路の各所に「←○○家勝手口」というような看板が立っています。これは配達の車への案内で、「表玄関に荷物を届けるな、勝手口にまわれ」ということです。

六麓荘は昭和の初めに造成された区画だそうですが、最初から電線は地中を通っていたそうですし、かなり厳しい建築協定が結ばれており、建築物の高さ制限があったり、ブロック塀は駄目で生垣にしないといけないなどの豪邸条例があります。企業家、資産家のお家が多く、誰でも住むことができるわけではありません。住むにも増改築にも町内会の承認が必要です。

芦屋の六麓荘や西宮の苦楽園に代表されるような阪神地区の高級住宅地は、もともと六甲山などの高台に外国人が別荘や住宅を建てて暮らしているのを見た大阪の資産家のマダム達が、「あんなんええなぁ。おとうちゃん、うちもあんなとこに住みたいわぁ」といって、真似をしたのが始まりだとも言われます。「海を眼下に眺めることが出来る高台の家」というのが共通点ですね。

しかし、お抱え運転手を持つことのできない一般庶民が真似をするにはとんでもなく不便なところでもあります。

「自転車で通勤、買い物は地獄である。」
「車で買い物に行くのに駐車場がいっぱいで苦労する」

こういった悪条件をものともせず、山の手に住みたがる庶民はとても多いのです。そのため阪神地区では海の近くよりも山の手の方が人気があり、阪急沿線ではいかりスーパーの紙袋を常に持ち歩き、子供のお受験の話などで盛り上がる人が多い傾向にあります。

※いかりスーパー・・・東の紀伊国屋、西のいかりと呼ばれる程の高級スーパーマーケットチェーン。主に阪急沿線にある。ただし、阪神地区以外での知名度は低い。この店の買い物袋は “ikari” と書かれた紙袋。いかりスーパーを知らない人間にとってはダサい紙袋。

大阪北摂から宝塚、西宮の六甲山系にかけて、本当にとんでもなく不便そうな山の高台に家が建ち並んでいます。知らない人が見たら、住宅地が足りないのであんなに不便なところに家が建っているのね・・・と思う人も多いようです。確かにそういう事情もありますが、必ずしも仕方なく住んでいるのではなく、好んで不便なところに住んでいる人もいるのです。
そういう風に認識した上で景色をみると、また違った風に見えるかも知れませんね。

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コメント

  1. 芦屋三代目住人 より:

    三代続けて芦屋に住み続けている住人です。最寄りが阪神芦屋駅なら無視してもいい、とはどういうことなのでしょうか? 阪神芦屋駅周辺、特に芦屋川沿いには大豪邸が立ち並んでいますし、坪単価はJRや阪神周辺の方が阪急より上ですが。山手に住みたがるぽっと出の中途半端な金持ちより、昔から芦屋に住む本当のお金持ちが阪神芦屋駅付近には多いように思いますが。元々邸宅街芦屋の歴史は、当時まだ田畑だらけだった阪急沿線山手ではなく、白砂青松の芦屋浜を望む芦屋川河口付近、平田町浜芦屋町あたりから始まったのは事実です。六麓荘は場所が阪急より北に位置しているだけで、最寄りは明らかにJRです。かつての六麓荘バスはJR芦屋駅との間を往復していました。山手にもライト邸など歴史はありますが、浜手にも深い歴史があります。事実を歪曲し、阪急→JR→阪神というよくわからん等高線みたいなステレオな考え方広めるの、もういい加減やめませんか?

  2. kabocha より:

    こんにちは!遅くなってすみません。
    コメントありがとうございます!

    ネタとして阪神沿線のことを書いたものの、実際に芦屋市はやっぱり他の市町村に比べて違うと思ってますよ~。
    阪神大震災の時の仮設住宅などの対応も他の町とは全然違ってましたしねー。
    でもやっぱり六麓荘のあたりは別格かなぁと・・・。

    ちなみに私はいつも阪神直通特急利用です(汗)。

  3. poki より:

    阪神芦屋駅でも、平田町なんかはかなりのお屋敷街ですよ
    芦屋市にはもう一つ、阪神打出駅があり、こちらの方はちょっと..

  4. kabocha より:

    私も実はイカリスーパーは行ったことないんです(笑)
    スーパーの帰りでもないのに、紙袋に他の物入れて歩いてる人はよく見かけましたけどねー。
    今は阪急電車を使うことが全くないので、見かける機会さえありません。

  5. 三四郎 より:

    芦屋は高級住宅地で有名ですね

    東海地方の私でも知っていますが、イカリスーパーは知りませんでした