ナシ

今日はナシについてです。そろそろ市場にナシが出回るようになりました。まだまだ残暑が続きそうですので、清涼感のあるナシの姿を見ると食べたくなりますね。

私の家では小さなころから、「梨」といえば20世紀ナシでした。父が青ナシが好きだったので、こればかりでした。そのためか長十郎はほとんど食べたことがなかったです。

その長十郎も現在は市場で見かけることもなくなり、子孫たちの時代に移り変わっています。
今現在、人気の主流は幸水、豊水で、それに続いてが20世紀です。

10年ほど前までは、ナシといえば鳥取県が生産日本一でしたが、今は事情が少し違います。
平成13年からナシ生産1位は千葉県に変わり、続いて2位は茨城県です。

平成21年度のナシ収穫量における順位では

1.千葉県
2.茨城県
3.福島県
4.栃木県
5.鳥取県
6.長野県
7.新潟県

の順です。

かつて1位だった鳥取県は今も20世紀ナシにこだわり続け、20世紀ナシの生産では日本一です。しかしナシの人気が幸水、豊水の方が上回ったこと、20世紀ナシの栽培が難しいことなどから栽培農家が減ってしまったために順位が下がったようです。

ナシの木は高木になるので、そのままだと10mくらいにまで伸びてしまいます。そのため棚作りになっているのが普通です。

ナシ畑と大山

20世紀ナシの花

梨の花ですが、同じ品種同士の自然交配では実がつきにくい性質があるため、多品種の花粉によって人工授粉する必要があります。
人の手で、穂の先に花粉をつけた筆で花に受粉させていきます。

人工授粉の様子

花を間引いて人工授粉させ、さらに実を間引いて(摘果)から、袋をかぶせます。ナシは病気から実を守るために袋掛けします。最近では病気に強い品種も生まれているようで、無袋ナシも見られるようですが、20世紀ナシは特に病気(黒斑病)に弱いので、必ず袋掛けします。

この上の画像がナシにかける実際の袋です。左側の小さいものは、まだついたばかりの小さい実専用で、成長して大きくなると、右側の袋に付け替えるのです。

袋は二重になっています。

こうやって多くの労力がかけられて、ようやく美しく、美味しいナシができあがるんですね。

和ナシの品種

日本では大昔から梨を食べる習慣がありました。とてもたくさんの品種が存在するようですが、鳥取県の二十世紀梨記念館で教えていただいたいくつかも品種についてご紹介します。
関東の比較的新しい品種については、ここに入っていないものがあるようです。

題名
品種名 収穫期間 両親 特徴
長寿 7月下旬~
8月上旬
旭×

君塚早生

神奈川県園芸試験場生まれ。試験場の所在地二宮町は古くから「長寿の里」と言われており、また初物を食べると長生きできるということわざを掛けて「長寿」の名がついた。
喜水 8月上旬 明月×豊水 松永喜代治氏の交配による。8月上旬に熟す極早生の赤ナシ。果肉は柔らかめで甘く、酸味は少なく多汁である。新水よりも早く出荷される赤ナシである。
新水 8月上旬 菊水×

君塚早生

親の「菊水」は「二十世紀」の子に当たるため、「二十世紀」の孫品種といえる。いわゆる三水(新水、幸水、豊水)の中で一番小柄であるが、肉質は柔らかく多汁、甘酸適度で濃厚なな味わいがある。品質優秀な早生の赤ナシとして人気があったが、現在の栽培面積は少ない。
博多青 8月上旬~
中旬
福岡藩主の居城にあった梨の木が起源とされているが、確実な来歴は不明。250年前頃中国から輸入したものかとも言われている。博多地方に100年を超える巨木が残っている。甘味、酸味とも強いが肉質はあまり良くない。
早生二十世紀 鳥取県東伯郡八橋の果樹園で発見。「二十世紀」の枝変わりか?熟期が「二十世紀」より15日ほど早いためにこの名がついた。外見上は全く区別が付かない。盆に供える青ナシとして人気があったが、現在は栽培面積が少ない。
幸水

(有袋)

8月中旬 菊水×

早生幸蔵

両親から一字ずつもらって命名された。日本が育種したナシ品種の第三号。「二十世紀」の子である。「菊水」を親に持つため、赤ナシながら「二十世紀」のような緻密で多重な肉質をもつ。現在、生産量日本一の品種。ハウス・植調剤・網掛け等の組み合わせにより長期出荷が可能。
幸水

(無袋)

8月下旬 果実に大袋を×有袋栽培に対し、多目的防風網等との組み合わせにより、袋掛けを行わず栽培をした幸水。袋が無いことにより若干果実の大肥大は劣るが、より太陽の日を浴びて生育するため、甘さは増す。また果実を見ながら収穫できるため、適期収穫が容易。
豊水

(有袋)

9月上中旬 幸水×

平塚一号

甘味、果汁が豊かなことから命名。果実は大玉で豊肉。果肉は白色で、「二十世紀」より柔らかく、糖度は「幸水」並みに高い。酸味もあり濃厚な味わいである。「幸水」に次ぐ人気品種。
豊水

(無袋)

豊水(有袋)参照
二十世紀 8月下旬~
9月上中旬
明治21年ごろ千葉県松戸市でゴミ捨て場付近に放置されていた実生樹を松戸覚之助が発見。親などは不明。その果実品質の良さ、豊産性により、全国に広まった。主産地である鳥取県には明治37年に導入され、1世紀を超えてもなお青ナシの代表品種として君臨する。また育種利用としての価値も高く、50品種以上の親である。
ゴールド

二十世紀

9月上中旬 農水省放射線育種場のガンマーフィールドに定植した「二十世紀」にガンマー線を照射した個体から、黒斑病の耐病性で選抜した変異体から育成した品種。黒斑病耐病性以外は親である「二十世紀」と全く見分けがつかない。「二十世紀」の後継品種として広がっている。
長十郎 8月下旬~
9月上旬
神奈川県で発見。発見者の屋号を取って「長十郎」と命名。果肉は粗く硬いが、甘味は強く、独特の風味を持った豊産性の赤ナシ。1932年には栽培面積の6割を占め、「二十世紀」と並ぶ代表品種だったが、その後「幸水」「豊水」にその座を譲った。育種利用も多く、「新世紀」他10数種類の品種の親。
太白 8月下旬~
9月上旬
江戸時代の古い品種で、「太白」とは金星の異称太白星からきている。果皮が汚れやすく、果肉は緻密でも食べた後にカスが残り品質外観とも良くない。一時期は全国で作られたが、「二十世紀」「長十郎」にその座を譲る。一時期「二十世紀」の親ではないかと言われた。「菊水」の母。
南水 9月下旬~
10月上旬
越後×新水 長野県農試で育種。果形も良く果皮もきれいな黄褐色で、とてもきれいな赤ナシ。「豊水」より収穫時期が遅く、肉質は若干粗いが、甘味が強く酸味の少ない食味の良いナシ。ただし黒斑病に弱いのが難点。長野県の生産が約9割。
新興 10月上旬~
10月下旬
二十世紀の
自然交雑実生
新潟県原産。花粉の親は「早生赤」あるいは「天の川」とみなされている。新潟または新津で育成との意味で命名。「早生赤」に代わる品種として期待された。肉質は「二十世紀」より粗いが、甘味も高く暖地向きの品種として普及。鳥取県でも中心的な中生品種である。
今村秋 10月中旬~
11月上旬
来歴は不明であるが、1840年頃より高知県高岡村で作られ、「秋熟の梨」として知られていた。各地の品評会で名声を博し、出品者に今村姓が多かったことからこの名がついたといわれている。果肉が白色で柔らかく甘味が強い。またお尻の形に特徴があり、貯蔵性も高い。
晩三吉 10月下旬~
11月上旬
明治初期新潟県原産と言われている。親ははっきりしないが、「早生三吉」の実生からではないかという説もある。古くから有名な貯蔵用梨として全国に分布し、輸出もされていた。6月ごろまで貯蔵が可能で、極めて大きく、肉質も良く多汁。「ばんさん」とも「おそさん」とも呼ばれている。
類産梨 新潟原産とされる。梨の栽培秘伝書「梨栄造育秘鑑」(1782年)に出てくる古品種。最近のDNA分析で、この梨は中国ナシ系の血を引いていることが判明。
愛甘水 7月下旬 長寿×多摩 愛知県安城市が育成地。品質が良く、大玉になる極早生の赤ナシ。親の特性を受け継いで甘味が強く、わずかに香りがある。「幸水」より10日ほど早い。
若光 7月下旬~
8月上旬
新水×豊水 千葉県が育種地。果実は扁円で黄褐色の赤ナシ。果肉は白色で柔らかく緻密で、甘酸は適度である。香りは少ないが多汁であり、大果のわりに果芯が小さいのが特徴である。
筑水 8月上旬~
中旬
豊水×八幸 早生の赤ナシとしてデビュー。肉質は緻密で柔らかく甘味も強いが、独特な香りがある。食味は優れているが、日持ちは5~7日とやや短い。
八雲 8月上旬 赤穂×

二十世紀

8月中旬に収穫できる。きれいな青ナシ。肉質は柔らかく多汁であり、成熟期の早い青ナシとして昭和40年頃には中心的な品種であった。
新世紀 7月下旬~
8月上旬
二十世紀×

長十郎

「世紀が新たになって来た」と名付けられた早生の青ナシ。病気に強くて収穫量が多く、日持ちが良い。「二十世紀」の前に収穫できることから補助品種として普及したが、肉質が硬く甘さが少ないこともあり、現在では栽培は少ない。
稲城 8月下旬~
9月上旬
八雲×新高 東京都多摩郡稲城町で育成。品質の良い赤ナシ「新高」の子孫で大玉になる優れもの。早生で形は四角ばり、少し凹凸するが多汁で肉質も柔らかく、関東では盆の贈答品として人気がある。
秀玉 菊水×幸水 「二十世紀」の前に収穫する青ナシ。「幸水」より大玉で、「菊水」より酸味は少ない。錆が多く発生するので果皮は少し汚れが目立つ。
秋栄 9月上旬 幸水×

おさ二十世紀

鳥取大学で育成された品種。自家和合生で病気にも強い赤ナシ。甘味はとても高く、果実品質は抜群。果皮が厚く硬いのが特徴。
おさゴールド(有袋) おさ二十世紀 農水省の放射線育種場のガンマーフィールドに定植した「おさ二十世紀」にガンマー線を緩照射し、その中から黒斑病耐病性により選抜された変異体より育成した新品種。果実形質などは全く「二十世紀」と区別がつかない。「二十世紀」に代わる品種として栽培が拡大している。
おさ二十世紀 9月上旬~
中旬
鳥取県東伯郡泊村で見つかった「二十世紀」の枝変わり。結実性以外は「二十世紀」と全く同じ。実止まりの良い「二十世紀」として注目を集め、自家結実性の高い新品種であることが実証された。
菊水 9月上旬~
中旬
太白×

二十世紀

育成者の菊池氏、清水氏の両名から一字ずつ取って命名。果皮が汚れやすいが、甘味もあり独特の風味がある青ナシ。病気には強いが日持ちは悪い。「新水」「幸水」「秀玉」などの母品種であり、育種的な価値が高い品種。
明月 9月中旬~
下旬
江戸時代の古い品種。「明月の如く大きな高尚な梨」というのが名前の由来。古くから太白とともに優良品種として知られ、「二十世紀」と共に三羽烏とされる。果肉は非常に緻密で味は濃厚であるが、果汁が少ないため爽快感に欠ける。500g以上の大玉になるが、作りにくい品種のため、次第に減退していった。中国梨のDNAを持つ。「新高」「愛宕」の父。
新星 9月下旬~
10月上旬
翠星×新興 両親から一文字ずつもらって命名。リンゴのスターキングに似た、お尻の細い独特の形をした赤ナシ。「豊水」の10日程度遅く収穫される。果肉は黄白色で柔らかく、甘味は強いが酸味は少ない。「幸水」と共に人気の品種。
新高 9月下旬~
10月上旬
天の川×

今村秋

両親の原産地、新潟県と高知県より一字ずつもらって命名。果実は多汁で柔らかく肉質良好であり、酸味は少なく甘味も高い。晩生では「豊水」以降の主力品種。韓国では「しんご」の名で愛され、生産量の7割を占める。
早生赤 10月中旬~
下旬
江戸時代の古い品種で新潟原産。早生の「赤龍」ともいわれ、古くからの著名品種。昭和9年には栽培面積の13%を占め、「20世紀」より多かった。寒冷地の晩生品種として広く普及したが、他の品種に座を譲った。「赤龍」の改良種ではと言われている。
新雪 10月下旬~
11月上旬
今村秋×

晩三吉

新潟生まれで名前は新潟の雪にちなんでつけられた。日本のナシの中でも一番大きくなる品種で、収穫期には1㎏近くのものが出回る。日持ちもよく、親品種である「晩三吉」に比べ、形状外観ともに優れている。クリスマスや正月に最適。
愛宕 10月下旬~
11月上旬
二十世紀×

今村秋

「二十世紀」の自家交配試験中の受粉ミスで生まれたとされている。地名を取って命名。現在は岡山県でたくさん栽培されている。太玉で肉質は粗いが、甘くて独特の香りがあり、貯蔵性にも優れている。

鳥取県倉吉市にある二十世紀梨記念館で頂いた資料を元にしていますが、記載ミスなど表に誤りがあるかもしれません。また専門家ではありませんので、並び順など細かい部分に関しては適切でないものあるかもしれませんが、お許しください。

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コメント

  1. より:

    梨は好きですねー。リンゴより梨派です。
    シャキシャキの梨がいいですねー。

  2. 三四郎 より:

    梨は鳥取がNo.1のイメージでしたが今は違うんですね。

    職場に以前いた人の故郷が鳥取の梨農家だったので、梨を貰ったりしてました(^^)

    それにしても二十世紀梨は元々ゴミ捨て場からとは。

    なんか聞いたことがありましたが、事実なんですね。