日本酒について

ビールと言えば、キリンのラガー、アサヒのスーパードライ、サッポロは黒ラベル、サントリーはモルツ。一昔前はそれくらしか頭に思い浮かばなかったですが、最近は発泡酒や第3のビールが生まれて、種類がものすごく多くなりましたね。逆に新商品が次から次へと出てくるので、わけわからない状態です。

しかし日本酒はもっと種類が多く、分類も厳しく、銘柄も何千とあって、聞いたことのない名前のお酒のほうが圧倒的に多いです。清酒の醸造元は全国に約1600もあるそうです。
国税庁の清酒製造業の概要(平成21年度調査分)によりますと、酒造会社が最も多いのは新潟県です)

一般的な日本酒は、兵庫県と京都府を中心とする関西地方で作られており、それは全体の約半分にあたり、残りは全国の一般酒店に流通していないことも多い地酒です。

最近はネット販売でそういった地酒も簡単に購入できるようになりましたが、ほとんどの場合は本で紹介されているような人気の地酒であって、飲んだこともない聞いたこともないお酒を注文する人はあまりいないでしょう。

しかしそういった知名度のないお酒でも、お土産として喜ばれることが多いのです。ありきたりなお菓子よりも相手によっては喜ばれます。ただ、重くて割れ易いのが難点ですが・・・。

でもおみやげ用に300ml前後の小瓶がよく売られています。飲んだことのないお酒を飲めるチャンスであると同時に、口に合わない場合もありますから、それくらいのサイズがちょうどいいのかもしれませんね。それなら重さはお菓子とあまりかわりません。(本当か?)

地方のお土産店で「うちのお父さん、辛口のお酒が好きなんです。辛口のお酒をください。」などと注文している人がいます。酒屋ならともかく土産店だと、お酒に詳しい店員さんとは限りませんので、一緒に悩んでいるパターンを見かけます。

一般的に日本酒の味を表現する言葉に「甘口」「辛口」という言葉が使われることが多いです。
正直言って私を含め、日本酒を飲まない人間が知っている日本酒の違いというのは、その程度のものです。
(清酒の甘辛度は日本酒度というラベルに書いてある表示である程度わかります)

人気の地酒がどんな味なのか、またどんなお酒が一般的に好まれるのか、さらには値段にかなり差があるのはなぜなのか?同じ銘柄で同じサイズなのに、なんで微妙に値段が違うのか?

こんな疑問を持ったことのある人も多いはずです。(私自身がずっとそうでした)

こういった私同様に日本酒を飲まない、飲めない人のために、日本酒が少しだけわかるお話を紹介してみたいと思います。

日本酒とは

米と水と麹(こうじ)を主原料に日本独特の製法で作られた醸造酒のことです。

お酒造りに重要なのは、ともうひとつ杜氏です。

杜氏(とうじ、とじ)とは

お酒を造る職人のことを蔵人といい、その長である総責任者のことを杜氏といいます。ひとつの蔵に杜氏は一人しかいません。

伝統的な杜氏は、蔵元(酒造会社)の人間ではなく、地方から出稼ぎにやってきた請負業者のようなもので、蔵元から全責任をまかされて、その年のお酒を造ります。

彼らはその出身地から、南部杜氏、越後杜氏、丹波杜氏といった風に呼ばれ、その伝統的な製造方法や風習は長く歴史を刻んできましたが、機械で製造管理することが一般的な現代では、その様子も少しづつ変わってきています。

全国の中小の酒造会社では、今も杜氏集団が酒造りをおこなっているケースが多いですが、大手メーカーの場合は一級酒造技能士を持った常勤の製造技師が責任者としており、製造部長やチーフブレンダーなどと呼ばれているそうです。

このため現在杜氏は数を減らし、伝統的な全国の杜氏集団の中には消滅の危機に瀕しているところがあります。(現在最多数を誇るのは南部杜氏)

日本酒製造において、水は酒の味を大きく左右します。水の硬度が最大の要因です。

昔は硬質の水、つまり硬水が酒造りに適していると言われました。
硬水にはミネラルが豊富にあり、これによって酵母の働きが活発になります。その結果、発酵の進んだハードなお酒、つまり辛口のお酒になります。硬水の代表としては、灘の宮水があります。

その反対に軟水で造るとソフトなお酒になりますが、軟水で造られるお酒といえば、第三の酒造地である広島が代表格でしょう。

ちなみに日本の水は基本的に中硬水なのだそうです。実際に飲んでおいしく感じ易いのは「軟水」だと聞きました。中硬水というのは比較的高度が高い軟水なんだそうです。わかりにくいですが、つまり硬水か軟水かといば、軟水だということでしょう。

最近はミネラルを豊富に含んでいるという事で「硬水」を購入して飲んでいる方が増えているようですが、【ミネラルが多い=体に良い】と単純に考えるのは疑問です。

ミネラルの中には石灰分も含まれています。通常ミネラルウォーターに含まれている石灰分くらいでしたら、常用しても体に問題はありませんが、それでも乳児に飲ませるのは硬水よりも、体に優しい軟水の方が良いそうです。赤ちゃんのミネラル摂り過ぎはお腹をこわす原因になったりするので注意が必要です。

酒米

次に米ですが、実際コシヒカリのような一般米でもお酒を造ることはできます。
しかし、味のあるお酒を造ることができるお米のことを酒造好適米(=酒米)と言って、代表的な酒米には「山田錦」「五百万石」「美山錦」などがあります。

玄米の外側にはお酒の風味を悪くする脂肪やミネラル、多量のタンパク質含まれていますので、清酒を造る際には、このお米の外側の部分を大きく取ってしまいます。
削れば削るほど高級なお酒に仕上がるようです。

酒米の特徴

  • 米粒が大きい
  • 脂肪やタンパク質が少ない

などですが、他にも様々な条件があります。

よく普通に炊いて食べても美味しくないと言われますが、けっして不味いわけではないそうです。ただ、美味しく食べるためには炊き方にも工夫が必要で難しいため、食用には向いていないと表現する方がいいと思います。

主な酒造好適米

1 山田錦 (主産地:兵庫県他)
2 五百万石 (新潟県他)
3 美山錦 (長野県他)
4 兵庫夢錦 (兵庫県)
5 雄町 (岡山県他)

(平成17年度酒造好適米品種別作付面積トップ5)

山田錦は大正12年に兵庫県農事試験場で生まれました。昭和11年に山田錦の名前で兵庫県の奨励品種に指定されました。田植えは6月上旬、借入は10月10日前後から始まります。長稈品種で倒れやすく、長いもので130cm位まで成長します。大粒で心白が中心部にあり、精米しやすく窒素分の少ない最高の酒造好適米と言われています。特に香りの高い大吟醸酒用として人気があります。

五百万石は昭和32年新潟県農事試験場にて生まれ、新潟の米の生産量が500萬石を突破した記念に命名された酒造好適米です。生産地は新潟、福井、富山、石川、福井県の他、東北南部から九州北部まで幅広く栽培されています。酒米としては早稲のため、山田錦より早く新酒ができます。

美山錦は比較的耐冷性が強いので、北日本で多く栽培されている酒造好適米です。

精米歩合は精米工程でどれくらい精米したかを元の玄米の重量に対する白米重量の割合で表す数字です。例えば精米歩合50%ならば、100キロの玄米を精米して50キロの白米にしたことを表します。

お酒の造り方など、詳しいことは酒類総合研修所のホームページや各日本酒製造メーカーサイトに詳しく載っていますので、そちらをご覧ください。

酒類総合研修所サイトのお酒の話(PDF版)を参考にさせていただきました。

日本酒の味

このように使うお米や水、そして杜氏によって酒の味は変わります。

日本酒には独特の旨みがありますが、その味の違いは地域によっても違います。

例えば新潟のお酒はよく淡麗辛口と言われるようですが、味がスッキリしているお酒が多いそうです。

これは寒い地域であるという特性から生まれました。
寒い地域の人は体を暖めるためにお酒をたくさん飲みました。たくさん飲むには味が軽いほうが飲みやすいので、自然にそういうタイプのお酒が中心になったそうです。

秋田のお酒は甘めで軽いタイプが多いそうです。
秋田は昔林業が盛んで、肉体労働だったため汗をかきました。その結果味の濃いものより軽めのお酒のほうが好まれたのだそうです。
(汗をかくと味の濃いものが欲しくなるような気もしますが、甘口のお酒が疲れきった体を癒したのかもしれませんね。)

東海道沿線は、気候温暖で食べ物も豊富、皆が贅沢になっており、味がありながらスッキリしているお酒を求めたそうです。その結果米の良いものを使うことで甘くて辛いお酒になったそうです。
(このへんは突っ込まないでください(汗)。)

しかし味覚にも時代の流れがあり、現代人に好まれる味が昔とは変わってきている点には注意しなければなりません。

現代はどちらかというと味のないお酒、つまりスッキリ軽いタイプのお酒が注目を浴びることが多いです。

例えば新潟の越乃寒梅は、元々地元でもはあまり知られてもいなかった蔵でしたが、著名 人の紹介によって知名度が急にあがりました。(それだけではなく越乃寒梅は人気が出たのにもかかわらず、増産せずに味を守っている点で評価が高いと言われます。)

また普通コシヒカリなど、一般米で造ったお酒には味がありません。が、しかしこれを美味しいと評価する人もいるくらいで、薄口が好まれるのが現代風なのかもしれません。

お酒のラベル

次は、そのお酒の味を想像する手がかりにもなるラベルについてです。

下の画像をお酒の瓶に貼ってあるラベルだと思ってください。

このラベル書いてある表示の内容についてですが、からは法令で表示が義務付けられています。
また逆に⑨⑩や産地の表示、「生一本」や「樽酒」といったお酒の特徴については、法令等で決められた要件を満たした場合のみ表示することが出来ます。

義務付けられた表示

アルコール分

原材料名(水は書かないことになっている)

精米歩合(特定名称酒の場合のみ)

品目

内容量

製造時期

製造者の名称及び製造場所在地

未成年者飲酒防止の注意

条件を満たした場合のみ表示できる

特定名称(吟醸、純米、本醸造など)

原料米の品種

その他メーカー独自の格付名称、例えば「上撰」などの語句や貯蔵年数、品質優良をうたう語句なども表示の要件が定められています。

裏ラベル

全てのお酒に貼ってあるわけではありませんが、お酒の説明など、飲んだことのないお酒を知る上で参考になるデータが記載されています。

ここに記載されている日本酒度についてですが、上で書きましたように甘辛度の目安になります。

本来は清酒の比重を示す尺度で、15℃のお酒と4℃の水の比重を測定し、同じ比重であれば日本酒度0となります。それより軽ければプラス、重いものはマイナスの値となります。

日本酒度=((1/比重)-1)×1443

糖分の多いお酒は比重が重たいので日本酒度がマイナスになり、糖分が少ないと日本酒度はプラスになります。

ただし、アルコール分によってお酒の比重は大きく変わりますし、酸味の強いものは甘口のお酒でも味わう際には甘みが隠れてしまい、辛口と判定されます。あくまでも目安程度ですね。

特定名称について

国税庁の「清酒の製法品質表示基準」に「特定名称」というものがあります。各要件を満たしていれば、それぞれの特定名称を表示することができます。

特定名称 原材料 精米歩合 こうじ米使用割合 品質表示基準
純米大吟醸 米・米こうじ 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
純米吟醸 米・米こうじ 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
大吟醸 米・米こうじ 

醸造アルコール

50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
吟醸 米・米こうじ 

醸造アルコール

60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
特別純米 米・米こうじ 60%以下または 

特別な製造方法

15%以上 香味、色沢が特に良好
純米 米・米こうじ 70%以下 15%以上 香味、色沢が良好
特別本醸造 米・米こうじ 

醸造アルコール

60%以下または 

特別な製造方法

15%以上 香味、色沢が特に良好
本醸造 米・米こうじ 

醸造アルコール

70%以下 15%以上 香味、色択が良好

  • 吟醸酒・・・米を磨いて低温でじっくり醸造する、いわゆる吟醸造りをしたお酒。昔は品評会のために杜氏が技術の粋を尽くしてつくるもので、ほとんど市場に出ず、酒の芸術品といわれたそうです。最大の特徴は吟醸香と呼ばれる繊細でフルーティな香り。吟醸香の高いものは、暖めると香を損なうので、普通は燗酒では飲みません。
    特に大吟醸は欠点の無いお酒と表現
  • 純米酒・・・米と米麹だけで造るお酒。ふくよかな旨みのあるお酒が多い。味がしっかりしているので、お燗から冷や、オンザロック、お湯割りなど色々楽しめるお酒です。
    味が濃い 後が残るタイプ
  • 本醸造酒・・・色々なタイプがあります。もろみを搾る前に少量のアルコールを加えて適度に味を調整しているので、お燗で軽快に飲めるものが多いようです。
    味スッキリ 後味が良い 地元の味 地域の味などの個性もある

精米歩合と醸造アルコールの添加の有無、香り・色択などで名称に違いがあります。

大吟醸と純米大吟醸の違いはアルコールが添加されているか、いないかということのようです。

高級な大吟醸にもアルコールが添加されてるの?という気がしますが、アルコールを添加するのは、香味のバランスを整える効果があるからで、特に吟醸酒ではアルコールを使うほうが吟醸香が引き立つ傾向があるからだそうです。

大吟醸よりも純米大吟醸の方が純米酒の特徴として香りが穏やかで味わい深いお酒です。特徴として酸味が後に残ります。
味のあるお酒だけに「やっぱり純米でなくては」という人も多いと聞きます。

その他の日本酒の名称

  • 普通酒・・・特定名称酒以外の清酒のことで、一般に流通している大部分の日本酒は普通酒です。

普通酒は、米・米麹・醸造アルコール、またはこれらの他に糖類、酸味料、化学調味料が原料となっているお酒。精米歩合も規定はありませんが、70%以上と推定されます。
特定名称のお酒に比べてアルコール添加量が多く、更に糖類も添加されます。
また、原料米についても等級の低い一般米が使用され、α化米、粉米も使用可となっています。

  • 低価格酒・・・さらに値段の安いカップ酒など、品質表示も不明確で三増酒のブレンド、普通酒よりもさらに多くのアルコール添加など、また米ぬかも使用可というお酒です。

上撰」「佳撰」といった語句がラベルに書かれていることがありますが、これらはお酒の良し悪しを判定するよりも値段の目安になる語句がと思った方がよいかもしれません。

かつてお酒の格付けに「特級」「一級」「二級」といった語句が使われていましたが、平成4年に廃止されました。

その後、代わりに登場したのが「上撰」「佳撰」といった語句です。ただし、各メーカー独自の基準で使われている等級のため、違うメーカーのお酒を比べるのには当てにはなりません。逆に同じメーカーの造るお酒を比べるなら、佳撰より上撰の方が良いお酒に間違いないそうです。

ちなみに上撰といっても普通酒から純米酒あたりまで様々です。「特選」となると、たいていどこのメーカーも特定名称酒になり、大吟醸などは「超特撰」と表示されることが多いようです。

味よりもメーカーの小売希望価格の価格帯ごとに使われる語句と思った方が素人にはわかりやすそうです。

最後に

まだまだこれだけでは、好みに合う日本酒選びには不十分だと思いますが、立派な高級酒が並んでいる棚を見つけたらラベルだけでも覗いてみてください。

私のように安い普通酒しか味見したことの無い人が、大吟醸のような高級酒を飲めば、また印象が変わるかもしれません。

本当に今日本酒は生産量が減り、また醸造元も合併統合や廃業するなど数を減らしています。逆に海外で人気が出ているという話もありますが、やはり私たち日本人が日本酒を見直す必要があると思います。

日本酒は体に悪いという風評があるようですが、それは間違いです。もちろん飲み過ぎはよくありません。2合くらいまでに抑えましょう。酒は百薬の長というではありませんか。ぜひチビチビとやってみましょう。

また機会があれば、ぜひ東北のお酒を飲みましょう。

下の各リンクは楽天市場の日本酒コーナーに飛びます。

岩手のお酒

宮城のお酒

福島県のお酒

山形のお酒

今回日本酒を知るために参考にさせていただいたサイト

酒類総合研究所

日本名門酒会

日本酒造組合

今回、日本酒について「ちゃんと知ろう」というキッカケになった醸造元の本田商店さん
(見学した際の記録はこちら ⇒ 龍力

ありがとうございました。

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コメント

  1. kabocha より:

    地ビールですかっ!飲み放題いいですねぇ~(笑)

    「日本酒」については、詳しくというより時間がかかりました。
    力作のひとつではありますが、ブログとしては長すぎますね(汗)。

  2. 三四郎 より:

    ものすごい詳しく書いてありますね

    私も日本酒はあまり飲まないのですが、勉強になりました

    そういえば先日、若狭に行った時の昼食がバイキングで地ビール飲み放題だったんですが、あれはよかったなあ