山岳観光地 上高地編

もうずいぶん前のことですが、ある年の10月の終わり近くに観光バスツアーで上高地に行きました。お客様は四国の◯◯県の方々でいわゆる添乗員付きバスツアーです。
四国からひたすらバスで走って長野県へ。1日目は上高地観光の後、白馬で泊まり、次の日は立山黒部アルペンルートを観光してそのまま四国へ戻るという、1泊2日の強行軍ツアーでした。

上高地の滞在時間は約1時間半。強行軍ですから時間が短いのは仕方ありません。
少しでも上高地を楽しんでもらえるように、こういう場合は大正池から河童橋までの往復2時間を片道約1時間で歩いてもらえるよう、歩きたい方だけ大正池で途中下車させ、バスターミナルで乗車してもらうように計らいます。

上高地入り口(釜トンネル) ⇒ 大正池 ⇒ 河童橋(バスターミナル)

最低でも2時間あればバスターミナルより奥の明神池方面に行ってもらうこともできますが、1時間半ではバスターミナル周辺の散策(河童橋含む)か、この大正池→河童橋片道散策しか選択肢がないのです。

大正池から河童橋まで約4キロ。時間にして40分から1時間20分くらいです。差がありすぎると思うでしょうが、実際早い人と遅い人でこれくらい差がでます。
到着前に歩くコースについて説明をし、梓川沿いを進めば必ずバスターミナルが見えるので、4キロ歩ける人だけ大正池で降りるように案内しました。

その日の天候ははっきり覚えてはいないのですが、悪くはなかったのです。晴れ間もあったように思います。

ところがっ!!!
釜トンネルを抜けるとそこは雪国だったのです!!
まだ10月です。ありえねぇぇぇ~!!どうやら急に降り始めたようですが、みるみるうちに雪は積もっていきます。標高1500mの山の中ですから、これはまずいと思った私は添乗員さんに「これは大正池から歩くのはやめておいた方がいいですよ。そのまま河童橋周辺を少し散策してもらってすぐ出ましょう。」と言いました。

ところがっ!!!
添乗員さんは「雪は慣れてますから大丈夫です。歩きます!」というではありませんか。
(「ぬぉ~!?雪に慣れてますだと?てめぇ何県人だ?」心の中の私の声)

ちなみにこの方達の住んでいる県はスキー場が1つもない県で四国では一番雪と縁遠い県です。たぶん彼女は(20代の女性の添乗員さん)、自分が雪の降るところに何度も行っているという意味で言ったんだろうと思います。

説得する時間も無く大正池に到着してしまい、マイクを通して雪があるから危ないので、できれば降りないで欲しいと言いましたが、やはりどうしても降りたいという人が数名いました。雪が降っているのが逆に嬉しかったのかもしれません。仕方なく10数名をバスから降ろし、バスターミナルに向かいました。

バスターミナルまで乗っていったお客様を、河童橋まで案内し戻りましたが、その方達もすぐバスに戻ってきました。雪がどんどん強くなってきて景色も見えないし、寒いし、売店も閉まるしと行くところがなくなってしまったからです。

そのうちそれまでけっこうたくさんのバスがターミナルに入っていたのですが、1台また1台と出て行き、とうとう私たちのバス1台だけになってしまったのです。こんなことは初めてでした。人気の観光地である上高地にバスがたった一台だけなんて。路線バスもいません。もちろん乗用車はいませんが(マイカー規制なので)、いるのはわずかに私たちのバスとタクシーが2台だけです。

それでもなんとか大正池で降りた方も次々とバスに戻ってきてくれました。集合時間までに戻らなかった人はひとりだけでした。

怖いじゃないですか。ひとりだけなんて。

私も河童橋周辺を探しに行きました。でも人っ子一人いません。バスに戻った私は、奴(添乗員)がバスの中から動こうとしないのを見て、河童橋周辺をもう一度見に行くように言いました。集合時間を10分過ぎても、20分過ぎても帰ってきません。30分近くがたった頃帰ってきました・・・・添乗員が(苦笑)。

添乗員さんが凍死しても困るので、もうあとは待つしかありませんでした。
当時はまだ上高地では携帯電話のアンテナが立たず、使えませんでした。案内所も閉まっているので、相談することもできません。タクシーの運転手さんは、「それは心配だねぇ」と言ってくれましたが、それだけです。

どうしよう・・・どうしよう・・・どうしよぉぉぉ~う

40分くらい経った頃、おじいさんがトボトボと雪の中を歩いてきました。行方不明だったお客様です。よかったぁぁぁ~!

事情を聞くと、一度駐車場の前を通り過ぎてしまったようです。普段なら賑やかなバスターミナルですが、バスが私たちのバス一台だけでしたし、周りが真っ白なのでわからなかったそうです。でもしばらく歩いておかしいと気がついてまた戻ってきたというわけです。じーさん歩きすぎ!!

結果として無事で良かったのですが、やはりこれは恐ろしい結末になる可能性もゼロではなかった事件です。やはり私ももっと強く反対するべきだったかもしれませんが、こういう自然現象に慣れていない方達は、怖さを想像することが出来ません。もし河童橋周辺の散策を短時間していただけなら、きっと後から歩きたかったとか、時間をカットされたというクレームが出た可能性があります。添乗員さんもまずそのクレームのことが頭にあったのが、やめなかった原因でしょう。

他のバスがすべて早々に引き上げていったことや、周りの景色の変化で、その時のお客様方も添乗員さんも安易に考えていたことがわかったのではないかと思います。そうであって欲しいと思います。

ちなみにその次の日のアルペンルートも途中で通行止めになり、大変でしたw

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コメント

  1. 旅かぼちゃ より:

    やっぱりそうなんですね。旭食堂の記事があったから間違いないと思いましたが。私が行った時はキャベツでしたけどね(^^)v
    また覗きにいきますね。

  2. kazu より:

    妙な時間におはようございます。今日から休みなのでたった今まで無料映画サイトで映画鑑賞してました・・・(-ω-)
    <あそこはkazuさんのブログですか?
    そうですよ。本名が「かずや」なので→「かずやっち」→「やっち(普段のあだ名)」→「Y」なのです。紛らわしくてすみません。orz
    無精者なのでコメント欄すら開けず、ただただ日々の戯言を垂れ流しております….(汗)

  3. 旅かぼちゃ より:

    kazuさんこんばんは!
    上高地に行ったことあるんですねー。私は上高地に行く前は上高地が一番行きたいところでしたよ(笑)。もちろん今でも好きですけどねー。でもやっぱり急変すると怖いですね。
    ところで前のkazuさんのコメントにリンクされていたURLに今日気がついて訪問したんですけど、あそこはkazuさんのブログですか?
    コメント記入欄が見つからなかったので、無念にも撤退しましたが(笑)

  4. kazu より:

    こんばんは。
    15年ほど前?だったか、僕も友人達と4人で上高地と黒部ダムに行きました。10月の終わり頃だったと思いますがダムの周りは白銀の世界でしかも吹雪でした。10月で吹雪なんて関西ではあり得ない事なので驚いた覚えがあります。翌日の上高地は雪は積もってませんでしたが、帰りのバスターミナルでは雪が降っていました。あのだだっ広いターミナルにバスが1台だけとは異様ですね・・・(^^;) 雪の山を舐めちゃイカン・・ですね。